大阪から電車で2時間ほど、瀬戸内海に面した中国地方、赤穂市のJR播州赤穂駅へ降りると、そこは都会の喧騒を離れ、自然の風景が溢れていました。市内を流れる千種川は清流で知られ、その源流は日本名水百選に選ばれるほどです。また赤穂市は1701年、江戸城での刃傷沙汰に始まる赤穂事件で有名な赤穂浪士の地で、それを題材とした忠臣蔵などの様々な創作がなされ、現在でもよく知られた土地です。

赤穂周辺は自然に恵まれ、温暖な瀬戸内海気候に属することから年間を通じて日射量が多く、江戸時代から塩産業や林業が発達していました。しかし近年、社会全体の高齢化、労働人口の減少により盛んであった林業においても衰退傾向にある現状に対して、赤穂市の行政は自然資源に着目しながら、環境負荷の少ない太陽光発電等を含む再生可能エネルギーの利用や関連産業との調和を進めています。
国道2号線を南下、千種川を渡り西赤穂方面へ進むと緑豊かな山林が目に入ってきます。道の両側に山腹が迫るなか、さらにその先、少し視界が開けた山裾に、緩やかな起伏に沿ってU字型に設置された太陽電池モジュールが現れました。太陽の光を反射して青く輝く1万枚を超える太陽電池モジュールはまるで穏やかにたゆたう瀬戸内海の様です。道沿いの看板には「デルタ電子赤穂エナジーパーク」の文字があります。ここがデルタグループで初めての自社運営の太陽光発電所です。

柯進興(デルタ電子日本法人代表取締役)は赤穂エナジーパークについてこう語ります。「2011年、東日本大震災以降、エネルギー効率や再生可能エネルギーに関して注目が高まりました。その時、デルタのエネルギー関連技術をどうやって活用できるか考えた結果、この赤穂市にメガソーラー発電所を建設する最適な機会ではないかと思い至りました。」
開所式当日は晴天に恵まれ、赤穂エナジーパークにおいて竣工式典が執り行われました。式典には赤穂市市議会議員、ビジネスパートナー、発電所建設協力会社、デルタグループのエグゼクティブメンバー、DEJ(Delta Electronics Japan)スタッフ、さらに地元の方々に参列頂き、つつがなく行われました。続いてテープカットセレモニーが行われ、デルタ電子の環境保護理念を実現した赤穂エナジーパークは運転をスタートしました。

デルタ電子赤穂エナジーパークは総面積96,000㎡(約10ha、緑地面積含)の敷地に最大出力約4.6MWの太陽電池モジュールを設置、想定年間発電量約4,900,000kWhを見込んでいます。その大きさからみると来賓の方々も小さく見え、起伏に沿って設置された施設の見学には1時間程度かかります。この発電所はDEJチームの努力により、ゼロからひとつひとつステージをクリアーし建設されました。その工程はスタッフにより購入されたドローンにより工事の進捗に合わせて空撮され、各ステージの施工状況を記録、貴重なデータとしてグループ内で情報共有されていました。

候補地を絞り込んだ後、2014年からまず3か月間に亘る土地審査が行われました。その後、土地契約書類審査、山腹地開発許可等の書類申請作業を進めながら、発電所の開発素案作成、建設会社の決定等を完了させるのに半年以上が費やされ、2014年末、ようやくDEJは正式にその土地を取得できました。そして2015年、整地から太陽光発電システムの設置、系統連系試験、試運転までの様々な工程が完了しました。
課題は、緩やかな起伏からなる山裾の地形をできる限り崩さず、高効率かつメンテナンスの容易な太陽光発電システムをどうやって実現するかでした。その答えが分散型パワコンによる太陽光発電システムの採用です。赤穂エネジーパークは多結晶太陽電池モジュール17,256枚、電力変換を担うパワーコンディショナには制御機能付の自社製小型パワコン185台を採用しています。
分散型はセントラル型と比較し、高効率のパワコンを採用可能で、かつ小型のパワコンを分散設置することにより大型のパワコンを設置する際に必要となる専用建屋が必要ありません。更に小出力パワコンを使用することで故障やメンテナンス等で発生する発電損失を最小にすることができます。また今回のシステムはパワコン出力の400Vを6,600Vに昇圧、さらに33,000Vに昇圧し系統に連系される特高連系(特別高圧による連系)となります。

柯進興は「起伏に富んだ日本の地形において、自然環境を生かしつつ、高い発電効率を実現できる最適な方法は分散型パワコン太陽光発電システムです。」と語ります。
特高分散型の大型太陽光発電所として完成した赤穂エナジーパークは、想定年間発電量約4,900,000kWh(一般家庭約930世帯分の年間消費電力量に相当)を見込んでおり、発電した電力は再生可能エネルギー特別措置法に基づき、電力会社に全量売電します。これはデルタ電子の新しいビジネスモデルとなります。
竣工式の数か月前、中国地方を大型の台風が襲い赤穂市でも浸水の被害が発生していました。発電所は工事完了に近づいているとはいえ未完成の状態でしたが、優れた防災設計と高い耐環境性能を持つ発電システムにより無事被害を免れました。そして赤穂エネジーパークは輝く太陽のもとで竣工式を迎えました。発電所は無事稼働を始めましたがこれで完了ではありません。次のステップではエネルギー提供のみならず、蓄電システムやエネルギー管理システムを導入する予定です。地球温暖化を含む環境問題への対応にはエネルギー対策が重要であり、デルタはそのための努力を続けています。赤穂の山中に完成した赤穂エナジーパークに留まらず、これからもグリーンエネルギーの先駆者として歩みを進めます。